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IT関連立地企業
インタビュー

株式会社トイ

「縄文思考が生み出すサステナブルな未来社会」

 代表取締役 
戸田 智雄

立地企業データ

【会社名】
株式会社トイ
【本社】
東京都目黒区青葉台4-2-19
【設立】
1984年
【代表取締役】
戸田 智雄
【従業員数】
5名(東北本社)

事業内容と東北本社の役割

TOYを一言で表すと研究・開発型のX-Tech(クロステック)企業になります。既存の産業やビジネス、「ものづくり」や「ことづくり」をデジタルテクノロジやシステムと結びつけ、新たな産業やビジネスモデルを生み出す開発型の事業を行っています。
現在は主に、ビジネス、農林漁業、教育、防災・減災を中心としたまちづくり、文化芸術など、各分野、各産業に携わっておられる方々に対し、未来に向けて新しい価値を創り出すお手伝いをさせていただいております。

また、デジタルテクノロジをサステナビリティに適用することで企業価値を高め、経済的利益と社会的問題の解決が両立した未来社会の実現に向けて取り組んでいます。

当社では、働く場所の自由度を高めたワークスタイルを進めているため、各拠点での業務分けやジョブ型雇用を行っていません。社員一人ひとりが成長ビジョンを描きやすくするために、それぞれの能力や特性に合わせた業務割り当てを行っています。

東北本社を開設した経緯

2021年1月、青森県八戸市に東北本社を開設しました。
わたしは八戸市の隣、南部町の出身です。自然豊かな南部小富士・名久井岳の麓で育ちました。潤う自然に急登が連続する山道で対峙したニホンカモシカ、空を真っ黒く染めるオオモンキアゲハの群集や流れる小川の底に棲むオニヤンマのヤゴやサワガニ、白鳥が飛来する馬淵川岸沿いの朽ち木に身を潜めるゴドゴド(カブトムシの幼虫)、ギラギラと燃える星に照らされて輝く雪面に鳥肌を立てる日々でした。
縄文の人々は、1万年以上にわたって狩猟や漁労、採集をしながら自然共生社会を実現していました。縄文思考を継承する青森には、デジタル革命の新たな日常であるサステナブル社会の源流があると思い、ここに東北本社を開設しました。

いま、レガシーシステムといわれる既存のITシステムが経営・事業戦略での足かせとなっています。2025年には12兆円の経済損失をもたらす「2025年の崖」を迎えるといわれています。レガシーシステムから新システムへの移行には、コストや手間、かかる時間やリスクの問題が生じるため、なかなかリプレイスも進みません。
わたしは、「2025年の崖」を乗り越えるためのカギは地方にあると考えています。青森はデジタル化が遅れていたため、レガシーシステムの使用もわずかです。移行を考えることなく、すぐにでも新システムの構築が可能なのです。
これは大きなチャンスです。システム構築のコストも手間も時間も最小限に抑えられるため、多くの方がデジタル化の恩恵を受けることができます。効率的かつ効果的に新しい価値、ビジネスの機会を生み出せるチャンスを活かしたいと考えています。
東北本社の開設は当社のイノベーションでもあり、100年企業を目指す第二の創業期だと思っています。単に新しい技術習得に追われるのではなく、イノベーションを起こす人材への理解を深め、活かす場を作ることが東北本社の役割です。

八戸に東北本社を構えてみて

東北本社の在籍は現在5名。そのうちの4名は中途採用で、八戸市で採用した人材です。
東北本社を設立する際、青森県と八戸市の方は、当社に合う空きオフィスやコワーキングスペースをあらかじめ調べてくださっていました。内見の時には一緒に回り、詳しい説明までしていただきました。また求人においても、工業高等専門学校に一緒に訪問し、紹介くださいました。県のフォローアップのおかげでとても助かりました。

オフィス環境は、社員の生産性や幸福度に結びつくと考えています。それぞれ独立した仕事を抱える社員は大部屋では集中力が妨げられることが多いです。また業務上、情報セキュリティの高い個室空間を作る必要があります。東北本社では一軒家を借り上げ、ネット環境を整えて各部屋をそれぞれのワーキングスペースとして活用しています。個室スペースを作りやすい戸建てオフィスは、心理的安全性の面からも選択肢の一つだと思います。

人材採用の面でいうと、青森で採用した人材は一生懸命働こうとする真面目な方が多い印象です。また、結果が出るまで継続してやろうという青森県民の資質は、システム開発に適していると思います。特に、青森の女性はよく働きます。行動も的確で素早く相手の求めることを理解できる高い能力と主体性を持ち合わせています。東北本社では現在2名の女性エンジニアが働いています。システム開発は男性の職業というイメージがありますが、わたしは新たなデジタル時代を生み出す人材は、物事を柔軟に捉え、困難を乗り越えていく資質能力を備えた女性だと思っています。
八戸市で採用した人材のなかには全くの未経験の方や別分野から転職された方もいます。知識・技術はまだ未熟ですが、常に成長を意識し、学ぶ姿勢を持ち続ける方が多いので上達スピードも早いと感じています。
デジタル・サステナブル社会を見据えて、プログラミング未経験者であっても、学び続ける知的体力と他者への責任感を持った方の採用と女性エンジニアの育成を積極的に行ってまいります。

東北本社の今後の展望

今後も東北本社では、地域の特性、個人の能力の特性を活かしたデジタル人材の育成と新たな開発手法であるアジャイル開発への移行を進めています。特に、農林水産分野やデジタルが苦手な方には、意見を伺いながら変更・修正を加え、短期間で実装と運用試験を繰り返すアジャイル開発が向いていると思います。単に情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたものづくり、ことづくりを行ってまいります。

2030年には、デジタル人材が70万人不足するといわれています。一方で、事務職では120万人、生産職では110万人が過剰人員になるとされています。デジタル環境が加速化するなかで、不足職種に過剰職種を差し向ける労働移動が世界的に起こっています。労働移動で有効とされているのが「リスキリング[Reskilling](学びなおし)」です。会社の「こうすべき」という方針のなかで学ぶのではなく、今まだない事業や業務、職種のために必要なスキルを自分自身で構築していくのがリスキリングです。
当社では、青森県民のデジタル人材育成、デジタル市場の開拓を目的として、オンラインによるWEBシステム開発の無料学習講座『愛瀰詩塾(えみしじゅく)』を開講しています。この講座は、青森県民限定で、無料で受講できるものです。https://toy.co.jp/saiyou/emishi/
DX時代にシステム開発のスキルを身につけることは、単に職業としてだけではなく、自らの夢の実現や地域の課題、社会問題を解決することにもつながると考えています。愛瀰詩塾での学びが青森県のデジタル人材創出に結びつくよう取り組んでまいります。

ニューロダイバース人材(非定型発達者)の採用・育成も行っています。ニューロダイバース人材は、IT分野の専門業務と特に相性が良いとされています。海外大手企業でもニューロダイバース人材に着目し、積極的に採用する取り組みが進んでいます。また、人材育成と技術習得を目的に社命で地元の大学や大学院へ社員を入学させています。

10余年にわたる立命館大学理工学部との産学共同研究の経験を活かし、青森県や八戸市における産学官・地域連携や大学発ベンチャーへの支援・協業など、デジタル・サステナビリティ企業として地域の発展に貢献してまいります。

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