当社の製品である「抵抗器」は、電流の強さを調整する電子部品です。主力製品である高電力抵抗器は、電気エネルギーを効率的に使うインバータの普及発展と、クリーンな電磁環境づくりで社会貢献しています。すべての電子機器には抵抗器が使われていますが、そのなかでも当社は、電力エネルギー機器や新幹線、自動車車載機器、情報通信機器などの産業用インフラの電子機器に使われる固定抵抗器や薄膜応用製品の製造・販売を行っています。
　1966年に株式会社日本高周波三沢製作所として三沢市で操業を開始し、その後、1973年に社名をニッコーム株式会社に変更しました。操業以来、お客様のご用途、ご要望に迅速・的確に対応できるよう、「お客様志向」を経営理念として活動し続け、今年で操業50周年を迎えました。
　高度経済成長期以降、日本経済は電子化技術を採り入れることで発展してきた経緯があり、それに並行して抵抗器の需要も増えていきました。このような中、当社は、独創的な産業用電子部品・抵抗器をお客様に提供することによって、国内外の社会基盤を整備する一翼を担い、社会に貢献しながら成長してきました。
　現在、日本国内で産業用高電力抵抗器を製造しているのは当社のみとなっており、国内シェア100％を占めています。
　しかし、海外となるとそうはいきません。ヨーロッパやアメリカには産業用抵抗器のメーカーが何社もあり、海外市場で競争しています。海外でのシェアはまだ10％ほどですが、今後は、中国、インドに加えて、アフリカや東南アジアなどの発展途上国でインフラ整備が進むため、この産業はまだまだ成長していくと考えています。
　当社では、毎年10品種ほど新製品を作っていますが、世界を驚かせるような「キラリと光る製品」を作り続けることで、世界を相手にも業績を伸ばせると考えています。

　当社で製造する抵抗器は、社会インフラに用いられるため、故障せず、長期間使える製品を作ることが重要になります。また、高速鉄道や車に使用される製品は、人命に関わるため、緊張感をもって製造にあたっています。
　質の高い信頼性のある製品が生まれる背景には、当社にしかできない高い技術を持った職人の存在があります。そのひとつとして、非常にレベルの高いはんだ付けの技術があります。この技術によって作られた製品は、他社製と比べると1割ほど性能がアップします。
　また、抵抗器は薄ければ薄いほど安定性が向上しますが、当社では研究を重ね、1ミクロン（1ミリの1000分の1）の20分の1ほどの厚さのニッケル・クロム系の薄膜を使った超精密薄膜抵抗器を開発しました。これは世界で初めての製品です。
　当社には、このような匠の技を持った職人がたくさんおり、小さな抵抗器の中に、高い技術を詰め込んでいるのです。産業用抵抗器では、世界トップレベルの技術と精度を誇っていると思います。
　今後は、パワーエレクトロニクス分野がさらに伸びてくると考えています。例えば、風力発電装置や太陽光発電装置、電気自動車、燃料電池車をはじめとした省エネ自動車の分野も成長すると予想されます。
　このような機器に対応する抵抗器を、圧倒的な技術力で開発することが、海外メーカーと競争する上で重要となってくるでしょう。今後も「世界でナンバーワンの技術づくり」を目標に据え、常に世界から注目される企業を目指したいと考えています。

　当社の社員の8割は地元の女性です。ものすごくロイヤリティが高く、明るく、さわやかで、年配の方も若い従業員も非常に勤勉であり素晴らしく、そして自分の意見を積極的にはっきりと発言してくれます。
　また、当社には、単身で海外へ出張し営業をこなせるくらい英語が堪能な女性社員もいます。企業の国際化、社員の考え方の国際化のために、社員全員の語学力向上を目的に、ネイティブスピーカーによる英会話の講習も行っています。
　青森の良いところは、冷涼な気候で過ごしやすく、水が豊富で、空気が美味しく、よい仕事をするための静かな環境です。国、県、金融機関の支援も、社会のインフラもしっかりしていますし、物流、交通網も何の不便もありません。当社社員のような勤勉な人材も確保できるため、モノづくり企業にはとても向いていると思います。

掲載年月：H28.10