加賀電子グループは、業界トップクラスの課題解決力と技術力で、電子部品と半導体の販売・EMS（電子機器の受託開発と製造サービス）・パソコンなどの完成品の販売・デジタルコンテンツ企画制作といった、さまざまな事業を展開するエレクトロニクス総合商社です。海外に45社、国内に22社あるグループ会社のひとつが、青森県十和田市の「加賀EMS十和田」です。
　加賀EMS十和田の前身は、1972年に設立した十和田電機株式会社です。当初はパイオニアのオーディオ製品やその構成ユニットの生産を手掛けていました。その後1990年には、パイオニアの事業拡大のため、十和田パイオニア株式会社を新たに展開。主力もカーナビゲーション製品へと変わっていきました。
　時代の変化で事業拡大や逆に縮小もありましたが、長年にわたって技術を培い、ものづくり環境と人材が育まれました。そのチカラをより発揮するべく、2019年にさらなる転機を迎えました。加賀電子に加わり、加賀電子が強化するEMSのマザー工場化を目指すことになりました。
　加賀EMS十和田として新たなスタートを切った当社は、得意分野である基板実装をメインに、設備投資などを行い、加賀電子本社の技術部隊の協力も得ながらマザー工場へ向けた準備を進めています。これにより、新規のEMSビジネスも順調に進んでいるところです。これからは、どのようなご依頼でも一層前向きに受入れ、今まで以上にチャレンジをし、変革を遂げ躍動していきたいと考えています。

　青森県十和田市に工場を構えて約50年。時代の変化に伴い生産品目が変化するなかでも、ものづくりを継続することができたのは、人材によるところが大きいと言っても過言ではありません。先に述べたとおり、当社は基板実装について、お客様からも評価いただいております。一定レベルの設備保有は大前提ですが、その設備をしっかりと維持管理できるスタッフがいること、そして、ものづくりに活用する技術力があることも必要です。当社では、これらを可能にする人材が育っていたのだと思います。
　最近、県外から来ている社員から、十和田の社員に奥ゆかしく実直な印象を持ったと聞きました。私も青森県の出身ですが、確かにそういう県民性はあるのかもしれません。向上心があり、前に進もうとする意欲がある人材を技術者としてこれから求めていくのですが、必ずしも見た目の元気がいいということではなく、内に秘めた熱さのようなものを持っているような人も大歓迎です。
　マザー工場化の計画に伴い、今後は地元の工業高校や近隣都市の高専、さらには大学まで広げて、新卒者を中心に教育し、技術者を増やしていきたいと考えています。また、その技術者を加賀電子グループの海外工場に派遣し、グループへ貢献する計画です。今後の雇用は社員、派遣を合わせて2025年で400人と計画しています。県からのサポートもありますから、良い人材と出会えると期待しています。

　当社が誘致企業となったのは十和田パイオニアになった時期で、その当時と今とでは、交通アクセスの利便性が格段に違います。現在の話をさせていただきますと、新幹線なら七戸十和田駅、飛行機なら三沢空港があり、東京との行き来には不便を感じません。さらに、業務の面で考えますと、商品や部品の輸送に八戸港から海路を使うこともできます。陸路、海路、空路から選べることができますので、首都圏から遠いことがハンデとは思っておりません。
　また、当社はものづくりを行う会社として、地球環境を維持、改善し、次世代に引き継いでいくことが使命であると考えており、年に2回の事業所周辺の構内外清掃や、奥入瀬渓流の清掃作業をボランティアで行っています。世界に誇る奥入瀬渓流や十和田湖が活動の場になるという面でも、十和田はとても魅力的な土地だと思います。
　十和田は自然災害も非常に少なく、自然豊かな暮らしやすいまちです。このまちから、世界に誇れる製品と人材を送り出し、ノウハウを発信していきます。

掲載年月：R4.1